[2] アドビ イラストレーターで作るグリッドテンプレート

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Adobe Illustrator でウィービングのデザインを作成する前に、まずは、グリッドだけのテンプレートを作っていきます。

最初は時間がかかるかもしれませんが、Illustrator の操作に慣れていくと、すばやく作ることができると思います。

大まかな手順としては、以下になります。

  1. 過去の作品をいくつか集めサイズを測る
  2. グリッドを構成する長方形の縦横比を計算する
  3. Illustrator で長方形を作成する
  4. 長方形を横に複製し、一段目のグリッドを作成する
  5. 一段目のグリッドを微調整する
  6. 一段目のグリッドを上に複製していく
  7. 作業しやすいように、グリッドの塗りと線を設定する
  8. グリッドレイヤーをロックする
  9. グリッドに目盛を付ける
  10. ファイルを保存する

すばやく作業するためのショートカットキーも紹介していきたいと思います。


1. 過去の作品をいくつか集めサイズを測る

グリッドをできるだけ正確なサイズで作成するために、過去に作った作品をいくつか集めます。

このとき、同じワープ SETT で織ったものを集めてください。ワープ SETT についての説明は、以下の記事を参考にしてください。

タペストリー織りのワープについての理解(SETT と EPI の説明)

写真は、 8 EPI のワープ SETT で織ったサンプルです。39本のワープで構成されていて、186段のヨコ糸で織りました。上下のヘッダーを含まずに、本体だけの縦と横の長さを測ったところ、ほぼ正方形で、123 mm(4.84 インチ)四方となっています。

もし、全体が何段のヨコ糸で織ったか不明な場合には、20段分くらいを目視で数えて、その長さを測ってください。


2. グリッドを構成する長方形の縦横比を計算する

計算式:

長方形の横の長さ:
作品の本体の横の長さ ÷ ワープの本数
長方形の縦の長さ:
作品の本体の縦の長さ ÷ ヨコ糸の段数

上記の手順1で確認した数字を使って、グリッドを構成するひとつの長方形セルの縦横比を求めます。
便宜上、この記事ではミリメートルを単位として説明を進めます。

計算式にサンプルの数字を当てはめてみましょう。

長方形の横の長さ = 123 mm ÷ 39 = 約 3.15 mm

長方形の縦の長さ = 123 mm ÷ 186 = 約 0.66 mm

もし、ヨコ糸の全体的な段数がわからない場合は、目視で20段分を数えて、たとえば、その長さが 14 mmだとしたら、以下のように計算します。

長方形の縦の長さ = 14 mm ÷ 20 = 約 0.7 mm

このようにして、グリッドを構成する長方形セルの縦横比を確認することができます。


3. Illustrator で長方形を作成する

ここからは、Illustrator での作業となります。上の手順の2で求めた数字を使って、ひとつの長方形セルを作成します。

以下のステップで進めます。

  1. 前回の記事を参考にして、Illustrator で白紙のドキュメントを作成します。

    手織りグリッドデザインのためのアドビ イラストレーター

  2. 編集メニュー/環境設定単位 を選択し、一般の単位をミリメートルに設定をしておきましょう。
  1. アートボードの左下に一つ目の長方形セルを作っていきますので、作業しやすいように、画面を拡大します。

  2. 左に縦に並ぶツールバーで、長方形ツールを選択します。

  3. 長方形ツールで、アートボード上をドラッグして、小さい長方形を作成します
  1. 長方形が選択されている状態で、プロパティパネルの「W」のフィールドに「3.15」、「H」のフィールドには「0.66」と入力します。

    もし、長方形の選択が解除されている場合には、ツールバーの選択ツールを選び、長方形を囲うように選択してから、プロパティに数値を入力します。

4. 長方形を横に複製し、一段目のグリッドを作成する

次は、手順の3で作った一つ目の長方形セルを、ワープの本数分、横に複製していきます。

以下のステップで進めます。

  1. 長方形がまだ選択されている状態で、オブジェクトメニュー/変形移動 の順番に選択します。

    もし、長方形の選択が解除されている場合には、ツールバーの選択ツールを選び、長方形を囲うように選択してから、オブジェクトメニュー/変形移動 を選択します。

  2. 移動ダイアログの「水平方向」のフィールドで、「3.15 mm」と入力し、コピーボタンをクリックします。これで、右隣りに長方形が複製されました。
  1. 同じ作業を、残りのワープの本数分繰り返してもいいですが、もっと早く行う方法として、変形の繰り返しコマンドを使います。

    オブジェクトメニュー/変形 をクリックし、一番上にある変形の繰り返しを選択します。

    または、ショートカットキーを使います。マックの場合は、キーボードのコマンドキーを先に押しながら、続いて「D」のキーを押す、Windows の場合は、Ctrlキーを先に押しながら、続いて「D」のキーを押す、という動作を行うと、変形の繰り返しコマンドが実行されます。
  1. サンプルでは、39本のワープとなっているので、長方形セルが横方向に39個並ぶよう、複製していきます。

5. 一段目のグリッドを微調整する

次に行う作業は、デザインする作品の大きさによっては、まちまちになると思いますが、ここでは、「ワープ SETT が 8 EPI で39本のワープ」というサンプルで使っている設定をもとに説明します。
いま作った一段目のグリッドの右側に余白が余っていますので、アートボードのスペースをできるだけ使うように拡大したいと思います。

ステップは、以下になります。

  1. 一段目のグリッドを選択します。選択が解除されている場合には、ツールバーの選択ツールを選び、39個の長方形を囲うように選択します。

    または、ショートカットキーを使います。マックの場合は、キーボードのコマンドキーを先に押しながら、続いて「A」のキーを押す、Windows の場合は、Ctrlキーを先に押しながら、続いて「A」のキーを押す、という動作を行うと、すべてを選択コマンドが実行されます。
  1. そのあと、再度、オブジェクトメニュー/変形 をクリックし、今度は、拡大・縮小 を選択します。
  1. 縦横比を固定」のフィールドに「150%」と入力し OK をクリックします。
  1. グリッドがアートボードの外側にはみ出てしまった場合には、選択ツールでドラッグし、アートボードの内側に収まるように移動します。

  2. プロパティパネルで数値を見ると、150%拡大後、長方形の縦の長さが 0.99 mm となりました。誤差程度の違いなので、0.01mm加えて、「1 mm」としたいと思います。

    まだ全体を選択している状態で、プロパティパネルの H フィールドで「1 mm」と入力してください。

これで、一段目のグリッドが完成しました。


6. 一段目のグリッドを上に複製していく

次は、一段目のグリッドをヨコ糸の段数分、上側に複製していきます。

ステップは、以下になります。

  1. 一段目のグリッドが全部選択されている状態で、オブジェクトメニュー/変形移動 の順番に選択します。

  2. 水平方向は、「0 mm」、垂直方向は「-1 mm」と入力し、コピーボタンをクリックしてください。マイナスの数値にすると、上に複製されます。
  1. 手順の4で説明した変形の繰り返しを行って、10段分複製していきましょう。

  2. 10段分が複製できたら、再度全体を選択し、オブジェクトメニュー/変形移動 の順番に選択します。

  3. 水平方向は、「0 mm」、垂直方向は「-10 mm」と入力し、コピーボタンをクリックしてください。
    これで、20段目まで複製されました。
  1. 変形の繰り返しを行って、100段目まで複製していきましょう。

  2. 100段分が複製できたら、再度全体を選択し、オブジェクトメニュー/変形移動 の順番に選択します。

  3. 水平方向は、「0 mm」、垂直方向は「-100 mm」と入力し、コピーボタンをクリックしてください。
    これで、200段目まで複製されました。

このように、必要な段数分を複製していきます。


7. 作業しやすいように、グリッドの塗りと線を設定する

あといくつかの作業を行って、テンプレートを整えていきましょう。ここでは、グリッドの塗りと線を設定していきます。

以下のステップで進めます。

  1. 全体を選択し、プロパティパネルの「塗り」の横にある色のボックスをクリックして、「なし」を選択します。長方形の内側の色が透明になります。
  1. 次に、「」の横にある色のボックスを選択し、真ん中くらいのグレーを選択します。さらに太さを「0.25 pt」にします。

    アートボードの何もない部分をクリックすると、すべての長方形の選択が解除され、全体を確認することができます。

このように、グリッドのラインを細く薄い色にすることで、デザインする作業を邪魔しなくなります。


8. グリッドレイヤーをロックする

今作ったグリッドが誤操作によって動いてしまうことがないように、ロックしておきたいと思います。ここでは、以下のステップで、レイヤーを使ってロックします。

  1. レイヤーパネルを表示します。表示していない場合は、ウィンドウメニューからレイヤーを選択して表示します。

  2. レイヤー1」をダブルクリックしてテキストが編集できる状態にします。今後作業しやすいように名前を「グリッド」に変更したいと思います。

  3. 次に、このレイヤーの左にある目のアイコンとの間のスペースをクリックし、錠アイコンを表示させます。これでこのレイヤーがロックされます。

9. グリッドに目盛を付ける

最後にもうひとつ作業をしましょう。以下のステップで、グリッドに目盛を付けていきます。

  1. 新しいレイヤーに目盛を作成してしていくために、
    レイヤーパネルの「新規レイヤーを作成」をクリックし、「レイヤー2」という新規レイヤーを作成します。
  1. ここでは、レイヤーの名前を「目盛」「めもり」「スケール」などわかりやすい名前に変更しておきたいと思います。
  1. 次に、作業しやすいように、画面を拡大して、グリッドの一番左下の長方形を大きく表示してください。

  2. 続いて、文字ツールを選択します。

  3. グリッドの一番左下の長方形の下でクリックします。数字の「1」を入力します。選択ツールに一旦持ちかえてから、文字パネルで文字の大きさを設定します。ここでは、「6 pt」とします。
  1. 続けて、オブジェクトメニュー/変形移動 の順番に選択します。

  2. 水平方向は、「4.725 mm」、垂直方向は「0 mm」と入力し、コピーボタンをクリックしてください。隣の長方形の下にも数字の「1」がコピーされました。
  1. 変形の繰り返しを行って、10 個分複製していきましょう。

  2. 10個複製されたら、1が10個並んでいる状態ですので、2、3、4、…と文字を入力しなおします。10まで入力したら、今度は、1 から 10 を選択し、水平方向47.25 mm」に複製します。
  1. 変形の繰り返しをあと二回繰り返し、数字を入力しなおしたら、横の目盛が完成です。

  2. 縦の目盛も同様で、垂直方向は「-1 mm」で複製を繰り返して目盛を付けていきましょう。

  3. 縦の目盛の文字の大きさは、ここでは、文字サイズのテキストフィールドに「2.5」と入力して、2.5 pt に設定しました。

10. ファイルを保存する

これでグリッドテンプレートが完成しました。大変お疲れさまでした!

最後にファイルを保存しましょう。

  1. ファイルメニューから保存を選択します。

  2. ファイル形式は、Adobe Illustrator 形式の「.AI」で保存してください。

YouTube: The video length: 11:17| ビデオの長さ:11:17

以上の手順3~10のステップを YouTube 動画で見ていただくことができます。細かい作業も含まれますが、参考になれば幸いです。

注意点としては、ワープSETT(EPI)やヨコ糸の太さが異なると、グリッドを構成する長方形セルの縦横比も異なります

まずは、普段よく作る作品をもとに測って、テンプレートを作ってみてください

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。