
これまでの記事では、7回に分けて、Adobe Illustrator を使って、グリッドデザインを作る方法を紹介してきました。
今回は、最後の作業として、いままでコンピュータで作成したグリッドデザインを、Illustrator がインストールされていない他のデバイス(例えば、タブレット)でも見ることができるように、汎用性のある PDF ファイルにする方法を紹介します。
その際に、ちょっとした工夫を加えてから PDF ファイルにします。
前回までの記事は、以下のリンクから参照してください。
- [1] Illustrator の基本情報・基本操作については、手織りグリッドデザインのためのアドビ イラストレーター
- [2] グリッドテンプレートの作り方については、アドビ イラストレーターで作るグリッドテンプレート
- [3] 下絵を取り込む方法については、アドビ イラストレーターに下絵を取り込む
- [4] ラフなグリッドデザインを作る方法については、アドビ イラストレーターでグリッドに色を塗る
- [5] グリッドデザインの調整方法については、織りやすいようにグリッドデザインを調整(アドビ イラストレーターでの作業)
- [6] ヨコ糸に近い色を登録する方法については、アドビ イラストレーターでグリッドデザインのためのヨコ糸色合わせ
- [7] グリッドデザインの配色時に使える便利な機能については、レイヤーを利用してグリッドデザインの配色を考える
今回の記事では、以下の項目を説明します。織るときのために、グリッドを見やすくしていきましょう。
1. グリッドデザインのファイルを別名保存する
最初に、これまで Illustrator で作成してきたグリッドデザインのファイルを別名で保存します。
- Illustrator でグリッドデザインのファイルを開き、レイヤーパネルで、目盛のレイヤーと一番気に入った配色のレイヤーを表示させます。
サンプルでは、「Scale」レイヤーと「Color 01」レイヤーを表示させました。これらのレイヤーがロックされていたら、ロックを解除してください。その他のレイヤーは非表示にします。

- ファイルメニューから別名で保存を選択します。
- ファイル名に何か名前を追加して保存してください。
サンプルでは、「lotus_enlarged」という名前にしました。

2. PDF にする前に、グリッドを垂直方向に拡大する
お気づきかもしれませんが、いままで作成してきたグリッドデザインは、非常に横長の長方形で構成されているので、このまま使うと、とても見づらいと思います。
そのため、私は、いつも縦方向に拡大してファイルを保存します。手順を以下に紹介します。
- いま別名で保存したファイルを開いたまま、再度ファイルメニューを開き、今度は、ドキュメント設定を選択します。
- 以下のウィンドウが表示されます。アートボードを編集ボタンをクリックします。

- そうすると、アートボードの境界線にブルーの点線が表示されます。一番下の辺にある白い四角を下方向にドラッグし、アートボードを細長くします。

- 選択ツールに切り替えると、ブルーの点線がなくなり、細長いアートボードが確定されます。
- アートボード全体が見えるように画面を縮小してください。
- 選択メニューからすべてを選択を選択します。
または、ショートカットキーで、Mac の場合は、コマンド+A、Windows の場合は、Ctrl+A を使います。 - オブジェクトメニュー/変形 をクリックし、拡大・縮小 を選択します。
- 縦横比を変更/垂直方向のフィールドに「150%」と入力し OK をクリックします。
グリッドデザインが縦に膨張されますが、これによって、織るときにグリッドが見やすくなります。
必要であれば、150%ではなく、160%や170%などもっと膨張させてもよいと思います。お好みで膨張させてください。

- オブジェクトがアートボードの上側にはみ出している場合には、オブジェクト全部が選択されている状態のまま、Shift キーを押しながら、キーボードの下向き矢印キーを10回ほど叩きます。
そうすると、下方向に3.5センチほど動くと思います。
アートボードの内側にすべてのオブジェクトが移動されていれば、OKです。

- これでいったんファイルを保存します。ファイルメニューから保存を選択します。
- 次に、オプションとなりますが、もっと目盛を付け足したい場合には、いまある目盛をコピーして数か所に置いてもいいと思います。
サンプルでは、左側の縦の目盛を右側にも設置し、横の目盛を上方向に4か所追加しました。
コピーする方法は、オブジェクトメニューの変形/移動を使います。 - 目盛の追加が終わったら、再度ファイルメニューから保存を選択します。
以下の画像で、拡大前と後での見やすさを比較できます。縦方向に拡大後は、ひと升ひと升が見やすくなっていると思います。


3. PDF 形式で保存する
では、PDFファイルフォーマットに保存します。
- ファイルメニューを開き、別名で保存を選択します。
- ファイルフォーマットに「Adobe PDF」を選択します。ファイル名はそのままでもOKです。
保存場所は、ドキュメントフォルダーやデスクトップなどわかりやすい場所を選択してください。

- 以下のウィンドウが表示されます。Adobe PDF プリセットのプルダウンから「最小ファイルサイズ(PDF 1.6)」を選択し、PDF を保存ボタンをクリックします。

- 以下のメッセージが表示されます。Illustratorの編集機能を保持するかどうかを確認するメッセージとなります。保持しない方がファイルサイズが小さくなるので、このままOKをクリックして保存してください。
今後もし、ファイルを編集したいときには、Illustrator 形式で保存したファイルを使って編集します。PDF形式のファイルはファイルサイズを小さくすることを優先します。

- 保存した PDF ファイルを PDF 閲覧ソフトで開いてみましょう。Adobe の Acrobat Reader は無償でダウンロード可能です。
- 問題なく開けたら、これで PDF 作成は完了です。
Acrobat Reader のダウンロードサイトへのリンクは以下です。リンクをクリックすると、アドビ社のページに飛びます。
4. 他のデバイスで開いて確認する
作成した PDF ファイルを別のデバイスでも開けるかどうか確認してみましょう。
簡単な方法としては、自分宛てのメールに PDF を添付して送り、メールを受け取れるデバイスで添付ファイルを開きます。
例えば、iPad でメールを受信し、メールに添付されている PDF を開くだけです。
そして、織るときには、手織り機の前に iPad を置いて、画面を拡大・縮小しながら織ることができます。

グリッドデザインを紙に印刷したい場合には、縦に膨張した分、一枚の用紙に収まらない可能性があります。その場合には、二枚の用紙に分けて印刷してください。
プリンターのカラーインクを節約したい場合には、白黒印刷するという方法もあります。
グリッドデザイン完成!
以上で、今回の記事を含めて、8回に分けて、アドビ イラストレーターを使って、グリッドデザインを作成する手順をひととおり説明してきました。
ファイルは合計で、以下の5個作成しました。
- グリッドテンプレート:ファイル形式は、Illustrator 形式(拡張子. ai)
※新たなデザインを作りたいときには、このテンプレートから始めることができます。 - 実際の縦横比で作ったグリッドデザイン:ファイル形式は、Illustrator 形式(拡張子. ai)
※デザインを修正したいときには、このファイルを使って編集してください。 - 織るときに参照しやすいように縦に膨張させたグリッドデザイン:ファイル形式は、Illustrator 形式(拡張子. ai)
- 上記の縦に膨張したファイルを他のデバイスでも開けるように、PDFフォーマットにしたファイル(拡張子.pdf)
- スウォッチライブラリファイル:ファイル形式は、Illustrator 形式(拡張子. ai)
※色を修正したい場合には、このファイルを使って編集してください。編集後、グリッドデザインのファイルのスウォッチライブラリとして開いてください。

これらのファイルの他にいくつかのバックアップも保存しましたが、この5個のファイルが出来上がっていれば、グリッドデザイン作成が完了です!
これまで紹介した情報が、皆様の手織りプロジェクトの参考になれば幸いです。
イラストレーターでは、他にも便利な機能がありますので、追々紹介していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
